パート契約を更新した場合の有給休暇の取り扱いについて
(相談内容)
6ヶ月契約のパート従業員の契約を更新しました。この場合の有給休暇はどのように扱えばいいのでしょうか?
◇回答◇
通常は契約を更新しても実質的な継続勤務としてみなされます。新規の発生日数は、発生基準日の契約内容と勤続年数によって決まります。
①.契約の更新と有給休暇
有給休暇は「雇い入れの日から起算して6箇月継続勤務し~」た場合に、発生するとされています。(労基法39条)。このため、6カ月の有期契約の場合には、出勤率に関わりなく有給休暇は発生しません。しかし、契約を更新して引き続き雇用した場合には、「労働契約が継続しているか否かは単に労働契約が、更新され別個のものとなっているか否かという形式的な点ではなく、使用者が労働者を指揮監督して、労働に従事せしめているという実質的な関係が引き続いているか否かという点で判断」され、継続して いると判断された場合には、8割以上出勤していれば2回目の契約、つまり6カ月契約の更新時点で、有給休暇が発生します。
②断絶していると判断される場合
一方、契約継続していない。と判断されるのはどのような場合でしょうか?このためには相当期間にわたって契約が断絶していることが必要です。相当期間とは、契約の内容によりますがおおむね3カ月程度が必要とされています。
③所定労働日数が変更された場合
この場合には、次の有給休暇の発生基準日から、変更された所定労働日数に基づいて発生する日数が付与されます。
例えば、勤続4年で所定労働日数が週4日のパートの場合、6カ月後の基準日に発生する有給休暇の日数は12日になります。しかし、基準日以前に所定労働日数が週3日に変更された場合には新しく発生する。有給休暇の日数は9日になります。一方で、週5日に変更された場合には、16日の有給休暇が発生します(労基法39条)。
なお、途中で正社員に登用された場合でも同じ取り扱いになりますが、すでに発生している有給休暇は所定労働日数が変更されても、それに応じて増減することはできません。
④賃金上の取り扱い
有給休暇時の賃金の取り扱いについては
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③健康保険法99条に定める標準報酬日額に相当する金額
の3つの方法のいずれかによる必要があります。正社員に多く用いられているのは②の方法ですが、時間給や日給が中心の給与体系の者には①のケースも見受けられます。
有期契約が更新された場合には、まず、継続性の判断をしなければなりません。継続と判断されるケースが多いと思います。